パークアヴェニューの妻たち の感想 ~マンハッタン上流階級のママ友付き合いとは?
ジュンク堂書店をブラブラしている時に目に留まった本です。
「~妻たち」と言うタイトルを見ると、「デスパレートな妻たち」を連想して興味をひかれました。内容は全然違いますけどね(笑)
作者のウェンズデー・マーティンは人類学を専攻した学者であり、2人の男の子のママでもあります。
マンハッタンのダウンタウンに住んでいたウェンズデーは、子育てに良い環境を求めて家族で「アッパーイーストサイド」に移り住む事に決めました。
しかし、そこには今までとは全く別の文化、慣習があったのです。
マンハッタンのイーストサイドと言うのは、アメリカの中でも選ばれた一部の特権階級の人たちが住んでいる場所でした。
~私は、今まで特に気にした事は無かったのですが、マンハッタンは、アッパーイーストサイド、アッパーウェストサイド、ダウンタウンと区分け(みたいなもの)があり、それぞれ、住んでいる人たちのタイプが随分違うようです。そう言えば、「セックスアンドシティ」でも、結婚後にシャーロットが住んでいた場所と結婚前にキャリーが住んでいた場所は随分違う雰囲気だったような気がしたのを思い出しました。~
アッパーイーストサイドのママ達の世界では、付き合う価値のある人間と見なされなければ挨拶もメールも無視されます。
ウェンズデーは、息子がお友達と遊びの約束をしてきても(プレイデイトと言うらしい)その保護者と、約束を取り付ける事が出来ません。
メールを送っても、話しかけても無視されるからです。
息子に申し訳ないと思う気持ちと、募る孤独感で辛い日々は続きました。
しかし、ウェンズデーは、研究者の視点を通して、この今までの自分の生活とは異なる文化をフィールドワーク(現地調査と言ったところ)して、観察してやろう!と思い直します。
~私自身も、結婚後に複数回の引っ越しを経験し、息子の幼稚園も転園しました。
学年途中で転園した事は、息子も辛かったし、私も最初はなかなか馴染めませんでした。
最近は、子育てサロンや公園で早くから、ママ達の輪も出来上がっているような気がします。私立幼稚園の多い地域では、その交流の中から情報を得たりして、自分の考えにあった幼稚園を選ぶので、やっぱり似たような考えを持ったママ達が多かった気がします。
ママ達の輪が早くから出来上がるのは良い事なのですが、引っ越しなどで後からやって来る場合は大変です。
出来上がっている輪の中に途中参加するのは、かなり骨が折れる事です。
自分だけならまだ良いのですが、子供も巻き込まれるのが困ったところです。
他の所は分かりませんが、息子の通った公立幼稚園では、園が終わった後に「園庭開放」と言うのがあって、暫く子供たちは園で遊んでから帰るんです。そして、それぞれ遊びの約束をして、さらに友達の家に遊びに行ったり、別の公園でさらに遊んだりするんです。子供同士が約束して、その後に親が「どの家で何時まで遊ぶか」と言った事を決めるんです。
この、子供の引き取り(園庭で一斉に行われます)~園庭開放までの一連の流れが、慣れるまで、かなり辛かったです。
子供が割と社交的だったおかげで徐々に馴染む事が出来ましたが、同じ「幼稚園」と言うカテゴリーの施設で、こんなにも違いがある事にもびっくりしました。~
ウェンズデーも、戸惑いながらも環境に適応していく中で、一見意地悪で閉鎖的なアッパーイーストサイドのママ達の真の姿、孤独や悩みを垣間見て行く事になります。
ウェンズデーは、しばしば、アッパーイーストサイドのママ文化を、類人猿の習性との類似点を交えながら解説しています。
遠く離れたアメリカでも、また類人猿の世界でも子育てをする母親の気苦労は絶えないものだな、と思いました。
読後感も良く、面白く読めました。
同じ著者の「継母と言う存在 真実と偏見のはざまで」も機会があったら読んでみたいです。