奇跡の猫ビリー 自閉症の少年に寄り添って 感想
猫にじっと見つめられる時、私の気持ちを全て分かっているような気がして、ふと喋り出さないのが不思議な気がする時があります。
我が家の猫は茶トラの女の子なのですが、この本に出てくるビリーのような
「奇跡の猫」ではありません。
自由気ままに、自分の気が向いた時だけ、身をスリスリと寄せて来て、寒くなってくると私の膝にピタっとくっついて眠る、気が向かなければ、ふいっと何処かに隠れてしまうような、そんな普通の猫です。
他人から見たら、そんな普通の猫なんですが、私は我が家の猫の体温に触れてあたたかさを感じるだけで、心が穏やかになるような気がします。
確かに、動物には不思議な力があるようです。
表紙の写真のビリーは、顔のちょっと大きな白とやさしいグレーの猫です。
ビリーの顔に鼻を埋めるフレイザー少年は、とても愛し気な表情で、ちょっとメイワクそうな表情のビリーとくつろいでいる1人と1匹の様子は、とても自然な感じです。
もし我が家の猫であれば、息子にこんなに顔をくっつけられたら、とっくに逃げて何処かに隠れている事でしょう。
フレイザー少年のお母さんルイーズさんは、子育てにとても悩んでいました。
フレイザー少年の、こだわりや予定の変更に対応できない自閉症の特徴、
そして「おそらく普通の小学校には通えないでしょう」と言う宣告。
けれど、ビリーが家族に迎えられ徐々にフレイザー少年は変わって行きます。
ビリーは、フレイザー少年が階段を登る練習につきあい、トイレトレーニングをはげまします。
本来持っていた、彼の良い面がだんだんと発揮されるようになってきました。
家族の支え、ビリーとの絆、全てが少年を導く要素となり、おそらく無理だろうと言われていた普通の小学校に通える事になりました。
ビリーを含めた家族のぬくもり、そんな事が感じられる本です。
※奇跡の猫ビリー 自閉症の少年に寄り添って
ルイーズ・ブース著 羽田詩津子訳 竹書房 316ページ