また、同じ夢を見ていた 感想
「また、同じ夢を見ていた」
は、こんなお話しです。
主人公は、賢くてちょっと生意気な口をきく小学生の女の子小柳奈ノ花です。
奈ノ花は、クラスに友達と言える子はいないけれど、同じように本が好きな荻原くんや、意気地無しの所はあるもののとても素敵な絵を書く隣の席の桐生くんとは、時々話したりもします。
クラスのバカで幼稚な男の子にはイライラさせられるし、学校は全然楽しくないけれど、担任のひとみ先生は好きだし、賢くなるために学校には行ってます。
奈ノ花のお友達は、しっぽの短い猫の「彼女」、「アバズレさん」、「おばあちゃん」「南さん」です。
放課後に、「彼女」と一緒にお友達の家ほ訪ねるのが、奈ノ花の楽しみなのです。
ある日、「幸せ」とは何か?と考える授業がありました。
隣の席の桐生くんと、色々話し合う奈ノ花でしたが、そんな時、桐生くんのお父さんが泥棒だと言う噂が流れました。
桐生くんは、学校に来なくなってしまいます。
「papa told me」の主人公、的場知世ちゃんタイプの主人公が、大人や世間をシニカルに捉えた、そんな小説なのかな?
と思いながら読み始めましたが、
ちょっと意外な?でも、ああ、そういう事だったのね・・・、と言う仕掛けもあり、何より最後は温かい気持ちになれる、素敵なお話しでした。
奈ノ花のお友達の、おばあちゃんのセリフが印象的です。
「誰の味方にもなってあげられなかったかもしれない、誰も愛せなかったかもしれない、人を傷つけていたかもしれない、誰にも優しく出来なかったかもしれない。でも、私は出来た。大切な人の味方になってあげられた。友人や家族を、愛した。誰かを傷つけることはあったかもしれない、でも優しい人になろうと思うことが出来た。だから、私の人生は幸せだった。もしかしたら、私にもあったかもしれない」
(中略)
謝る事も出来ないで、大切な人を失って、ひとりぼっちで自分を傷つけてしまうこと」
237、238ページより
幸せとは?人生とは?
まっすぐに問い続ける奈ノ花ちゃん、とても素敵な女の子でした。
小説では時々見かける、一匹狼タイプの女の子。
実際の世の中では、なかなかの絶滅危惧種ですよね。
教室で群れないでいるのは、今の世の中ではかなり勇気のいる事。
作者の住野よるさんは、「きみの膵臓をたべたい」を書かれた方だったんですね。
知らずに読みました。
作中に出てくる「彼女」という猫が、しっぽが短くて、我が家の猫と重なって勝手に親近感を持ってしまいました。
でも我が家の猫さんは、「彼女」ではなくて、「彼」だし、あんまりミステリアスでもないんですけどね・・・・・。
久しぶりに、「papa told me」7巻
episode32 「アーバンキャッツ」が読みたくなって、押し入れから引っ張りだして読みました。
こっちも、カッコいい猫と、可愛い女の子、と素敵な女性の出てくるお話しです。